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「ねぇ、綺來。吉野先輩に相談してみたら?」
「由良先輩に?」
「ええ。昨日言ってたでしょ?綺來に危害を加えたら許さないって。きっと何とかしてくれるはず」
確かに。彩ちゃんの言う通り、由良先輩なら何とかしてくれるかもしれない。でも今、私がされたことと言えば上履きを盗まれて捨てられた、ただそれだけ。
「うーん。別に私に大きな危害があったわけじゃないし…由良先輩に言うほどのことじゃないと思う」
「綺來、あんた馬鹿ね。今は小さなことでも、あんたが何もしなければ相手は調子に乗って行動がエスカレートするだけよ」
彩ちゃんが言っていることは正しいと思う。
でも、もし由良先輩に言って、これぐらいのことでって面倒に思われたら??
由良先輩は私に対して恋愛感情を持って付き合ったわけじゃない。少しでも面倒だって思われたら、捨てられてしまうかも。
そもそも私と由良先輩は昨日付き合ったばっかりだ。この人なら大丈夫って思えるほど、私は由良先輩のことを信用できていない。
そんなことを考えてしまうと、不安で言えるわけなかった。
「彩ちゃん、心配してくれてありがとう。でも、少し自分で頑張ってみる」
私は、こういうところは臆病だから。
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