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「後は俺が何とかする。もう大丈夫だから」
ああ、、なぜ私は、この人のことを信用できないなんて思ってしまったんだろう。
確かに、私の知る由良先輩は冷たい人だった。
それでも私のことは、こんなにも大切にしてくれていたのに。
由良先輩の優しさを噛み締めるように、ぎゅっと抱き返す。私はもう、由良先輩を信用できないなんて思わない。
どんなことがあっても私は、由良先輩だけは信じよう、そう心に誓った。
────……この時、私は気づかなかったんだ。
私を抱き締める由良先輩の瞳が、静かに、でも確実に、黒く暗い闇に沈んでいったことに。
「お前を悲しませたり傷つける奴は、俺が全部消してあげる。だから、お前は安心して笑ってて。」
私に聞こえないように呟かれた、その言葉に。
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