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「齋藤先生が私に…?」
彩ちゃんは私や凛太郎と違って優等生だから、先生から呼び出しを受けるなんて珍しい。彩ちゃんもそれを疑問に思ったのか首を傾げている。
「と、とにかく、私は伝えたから…」
女子生徒は伝えることだけ伝えると、足早に去っていってしまった。
「提出物はちゃんと出したし、なにかしら…」
「とりあえず、行ってみたら?齋藤先生って怒るとめっちゃ怖いし」
「それもそうね」
彩ちゃんは飲み終わった紙パックを握り潰すと、そのままゴミ箱の中へと投げ入れる。ナイスシュート!さすが、バスケ部の若きエース。私とは投げ入れる正確さが違う。内心拍手を贈る私に彩ちゃんは「じゃ、行ってくる」と手を軽く振って、職員室へと向かった。
そして、私はぼっちになった。
自慢じゃないが、私は彩ちゃんと凛太郎以外に友達がいない。彩ちゃんは職員室だし、凛太郎は休み…。そして、クラスメイト達はガヤガヤと騒いでいる。うう、気まずい…。
よし、こんな時は寝たフリをしよう!
顔を机にうつ伏せて、目を瞑ろうとした瞬間、
「───森田さん。」
呼ばれて顔を上げた。
「え、、宮前、さん…?」
机の前に宮前さんが私を見下ろすように立っていて、驚きで目を見開く。
「森田さん。ちょっと時間いい?」
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