さん

14/27
前へ
/179ページ
次へ
「齋藤先生が私に…?」 彩ちゃんは私や凛太郎と違って優等生だから、先生から呼び出しを受けるなんて珍しい。彩ちゃんもそれを疑問に思ったのか首を傾げている。 「と、とにかく、私は伝えたから…」 女子生徒は伝えることだけ伝えると、足早に去っていってしまった。 「提出物はちゃんと出したし、なにかしら…」 「とりあえず、行ってみたら?齋藤先生って怒るとめっちゃ怖いし」 「それもそうね」 彩ちゃんは飲み終わった紙パックを握り潰すと、そのままゴミ箱の中へと投げ入れる。ナイスシュート!さすが、バスケ部の若きエース。私とは投げ入れる正確さが違う。内心拍手を贈る私に彩ちゃんは「じゃ、行ってくる」と手を軽く振って、職員室へと向かった。 そして、私はぼっちになった。 自慢じゃないが、私は彩ちゃんと凛太郎以外に友達がいない。彩ちゃんは職員室だし、凛太郎は休み…。そして、クラスメイト達はガヤガヤと騒いでいる。うう、気まずい…。 よし、こんな時は寝たフリをしよう! 顔を机にうつ伏せて、目を瞑ろうとした瞬間、 「───森田さん。」 呼ばれて顔を上げた。 「え、、宮前、さん…?」 机の前に宮前さんが私を見下ろすように立っていて、驚きで目を見開く。 「森田さん。ちょっと時間いい?」
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

290人が本棚に入れています
本棚に追加