さん

15/27
前へ
/179ページ
次へ
なんで、宮前さんが? そんな疑問が頭に浮かんだ。だって宮前さんとはあの日以来関わることがなかったから。 私は、嫌がらせされて一番最初に宮前さんを疑った。ただあの日、睨まれたというだけで。宮前さんは犯人じゃなかったのに。本人は、そんなことなんて分かるはずもないけど、私は宮前さんに対して罪悪感のようなものを感じていた。 だから「教室では話せないことだから私についてきて」という宮前さんの後を大人しくついて行ってるわけだけど、後悔した。 ここは、体育館倉庫の中。人前では話せないことだからってこんなところ連れてくるなんて…。 一体、何する気? 身体を強ばらせながら、こちらを振り向こうとしない宮前さんの背中を見つめた。 「ねぇ、森田さんさ。どうやって、由良先輩に取り入ったわけ?」 「え、」 振り向いた宮前さんの顔は酷く歪んでいて、声色は私に対する憎悪で満ちていた。恐怖で身体が震えて無意識に後退る。
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

290人が本棚に入れています
本棚に追加