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「ひ、久しぶりだね。翠くん」 「……。」 いや、無視かーいっ。 翠くんのこういう態度には、もう慣れっこだけどさぁ、挨拶くらいは返して欲しい。いくらあたしのことが死ぬほど嫌いでも。 まあ、そもそも翠くんに嫌われる原因を作ったあたしが全て悪いから、別にいいんだけど。いいんだけどさ、、相変わらずの翠くんの冷たい態度に若干、不貞腐れつつ視線を落とすと、翠くんが持っている買い物カゴの中身が目に入った。 コーラ、ポテチ、ジャンプ、そして…。 「焼きプリン。今も好きなんだね」 口にして、すぐにハッとする。人様の買い物の内容をジロジロ見るなんて、あたしキモすぎでしょ。翠くんに更に嫌われちゃうじゃないか。謝ろう、と顔を上げると、ヘーゼル色の瞳が僅かに見開かれて揺れ動いているのが目に入った。 「…………覚えてたんだ。俺の好物。」 さっきは気づかなかったけど、ぽつりと呟かれた声が記憶の中のモノよりもずっと低くなっていてちょっとだけドキッとしたのは、内緒だ。
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