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「そんな簡単なことも分からないなんて、もしかして羽依はお馬鹿さんなの?」
「ば、馬鹿って…碧心、酷い…」
「羽依ってそれなりに恋愛経験あるはずなのに鈍感だよね。今までマトモな恋愛をしてこなかったせいかな」
緩く波立つ亜麻色の髪をふんわりと揺らして、こてんっと小首を傾げる碧心。愛らしい仕草とは裏腹にキレッキレな毒舌にあたしはタジタジになった。酒が入っているせいか、碧心の毒舌がいつも以上に鋭利な気がするよ。
まあ、マトモな恋愛をしてこなかったってのは事実だから否定はできないけど。でも、あたしって、鈍感、、なのかな。
それだけは全然納得してないかも。むしろ恋愛面では敏感な方だと思ってる。反論しても碧心に毒舌を返されるだけだから言わないけどね。
「羽依はね、ちゃんとした人とちゃんとした恋愛をするべきだと思うの」
「ちゃんとした恋愛かぁ…。でも、碧心も知ってるでしょ?あたしの男運の悪さを」
「知ってるよ。だからね、私が羽依に最適ないい男を紹介してあげる」
あの吉野碧心が“いい男”と評するなんて、どんな人なんだろうと気になって「いい男?」と聞き返すと、よくぞ聞いてくれました!とばかりにヘーゼル色の瞳がキランっと輝いた。
あー、、何か嫌な予感。
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