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「ねぇ、翠くん」
「……」
「おーい。翠くんってば」
「……」
無言のままあたしの前を歩く広い背中に何度も呼び掛けてみるけど、全く反応を返してくれなくて、むっと唇を尖らせる。
この距離で聞こえてないってわけないだろうし、、無視ってことですか、そうですか。
まあ、、いいけどさ。
「……あのさ、別に無視したままで構わないんだけど、お礼だけ言わせて。翠くん、さっきは助けてくれて、ありがと。あの時、翠くんが来てくれなかったら、あたし、、また同じ過ちを犯しちゃって、たくさん後悔していたと思う」
「……。」
「だから、あたしが後悔しないで済んだのは、翠くんのおかげ。本当にありがとう。後、迷惑掛けちゃってごめ、」
言いかけたところで、翠くんが急に立ち止まるから、あたしの顔面が翠くんの背中に激突して「ぐえっ」なんて間抜けな声を出してしまった。
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