きみを作ろう

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ボクは最後のパーツを、そっと、そーっとはめ込む。 「よし!ついに完成だ!」 ボクは額の汗を拭った。 達成感から、体が高揚して思わず笑みが零れる。 この日をどんなに待ちわびたか。 長かった。実に長かった。 完成まで、こんなに長くかかるとは思いもしなかった。 でもそんな長い月日も、いまボクの目の前にある“完成した”状態を見れば、報われるというものだ。 「うん。上手くできた。ほんとうに上手くできたなあ」 ボクの目の前には、裸の人間が寝ていた。 ゆうに100を超えるパーツを組み合わせて作ったボクが愛した“きみ”がそこに寝て居たのだ。 生前のきみによく似たパーツを、いろんなひとから貰って集めて、ボクが手ずから作ったきみ。 「ああ。おかえり、愛しい人」 愛しさが溢れて思わず抱き締めれば、きみからぐちゃりという異音がした。 よく見れば腕の中には腐臭を放つ肉片がある。 気づけばきみはどこにもいない。 「…………あぁ、……壊れた……仕方ない。また集めなくちゃ……」 きみだったものからさっさと離れると、ボクは革手袋を嵌め、愛用のリュックサックを背負う。 ファスナーが開いていたのか、がちゃりと音がなり、錆びたノコギリが転がり落ちた。 「なんだよ。もう錆びちゃったのか。また新しいの買わなきゃな」 ゴミになってしまったノコギリを靴で蹴って角に避けた。 きみだったゴミにぶつかって、またぐちゃりと嫌な音がした。 「さあ、新しいパーツを集めなきゃ!」
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