最低な恋心。

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「…見た通りだよ」 御影はお気に入りのお昼寝スポットにリュックを枕にして寝転んでそう言った。 「寝取られたのか?」 自分の彼氏だった男が自分の友達だった人と一緒に居る。それは別れたというよりも、寝取られたようにしか見えない。 「…なんでもいいよ」 (ちから)なくそういう御影はいつも通りなのか落ち込んでいるのか。 俺は寝転がった御影のそばに座って缶コーヒーを飲んだ。 俺が知ってる御影の彼氏は、御影に相当入れ込んでいて、入学時からずっと御影を口説いていた。 一年間ほとんど費やして口説いて、やっと付き合ったのが二年の前期の頃。 それが後期になれば別の女。 しかも御影の友達と付き合ってるとなると下衆の勘繰りというものをしてしまう。 「…寝るから三限前に起こして」 背を向けて丸まって眠る御影は猫のよう。背中を丸めて足を丸めて小さい身体を更に小さくして眠り始めた。 落ち込んでるかと思えば、そうでもないのか?猫のように気まぐれで、猫のように掴みどころのないこの女は俺の周りには居ないタイプで面白い。 俺は小学校の頃からエスカレーター式のこの学校に入ってそのまま大学まで来た。 同じようにそうやって大学まで来てる奴もいれば、高校から、大学からと来てる奴もいる。 御影は大学から入ってきた外部生だ。 俺は中学あたりから成長期が来て、ぐんぐん背が伸びて女受けのいい顔もしてるせいか。モテた。俺の周りは、俺を【男】として見てて、そして【物件】として見てる。 だから【女友達】なんて居なかった。ずっと。 だけど大学で俺の前の席に座ったこの御影は俺に関心ゼロという顔で涼しい態度。 ネコナデ声も出してこない。色気を振りまいても来ない。いつも最低限の会話。 そんな態度のコイツが俺は気に入った。
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