最低な恋心。

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「名誉の負傷だな」 医務室で俺は腫れてきた頬に湿布を張ってもらった。 口の中も切れてるようで、血の味が広がっている。 俺の周りには、大学内のちょっと偉い人達も居て俺は治療を受けながら事情を聴かれた。 襲われかけた御影の話によると、御影の親友が御影の元カレと浮気して双方別れる事になったのに。 それに対して執拗に怒っていて更にその怒りが彼氏を引き留めなかった御影に向いたらしく、御影と肉体関係を持って 「あいつらにも俺のように思い知ってほしかった」 と自己中心的な考えでのあの騒動だったと。 御影は掴まれた手形がくっきりと跡が残るほどの力で迫られていた。その手形には狂気じみたものを感じる。 俺が殴られた後に、男の唸り声が聞こえたのは、御影がその光景を見て、ブチ切れて相手の股間に向けて力いっぱい蹴りをしたようだった。 男はそれでK.O。その場で蹲り、失神する手前の痛みでその騒動を聞いた職員たちが駆け付けて今に至る。 医務室で医学部の准教授に診察を受けて、診断書を書いてもらった。 被害届を出すかどうか。その話をしながら。 「まぁ相手は退学処分になるだろう」 その言葉で安心した。 御影は手当てを受けた後、職員たちに色々聞かれていた。 俺は叩かれたし、ケガもしたけれど。 男が男に受ける暴力と、女が男に受ける暴力では【恐怖心】が比ではないだろう。 あいつ大丈夫か? この後、この事件は大学内で有名となり。発端となった御影の元カレと親友の浮気話が広がって、御影も含まれた関係者は周りから一線置かれてしまった。
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