夏の終わり

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 空の色が少し淡くなった。  同じように日が照っていても、前のように肌が焼ける感覚はない。  これまでは風が吹いてもそれすらが暑かったのに、今は風の流れを涼しいと感じる。  ようやく秋がきた。夏が終わる。  強い強い日差しが、くっきりとその輪郭を浮かび上がらせていたこの世ならざるもの達。その総てが、空きの淡い空気の前に姿を保てなくなり、風に吹かれて散っていく。  嫌なものがひたすら見えていた夏という季節。それがようやく終わって、心穏やかに過ごせる秋がきた。 夏の終わり…完
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