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けれども、奴が口を割る事は無く、結局何もかも諦めた。
何もかもが面倒になり、投げ出したくなった。
ザーザーザー…
真っ赤な月さえも隠してしまう雲の下、激しく降り続く雨にずっと打たれていたいと思った。
俺の退屈を、壊してくれ。
誰でもいい。
何でもいい。
俺の退屈を、壊してくれ。
いや、助けてくれ。
…?
"助けて"??
なんだ?
なんだ?
一体俺は、何を…。
「…誰だ?」
いきなり人の気配を感じ、口を開いた。
「…お前。この国の者じゃねぇな。何故、他国の奴が此処に居る?」
ゆっくりと、門に近付く。
門の前には、金色の長い髪の男。
赤い縁の眼鏡をかけ、ダイヤのようなキラキラしたその瞳が、俺の瞳と合う。
「すみません。決して、不法入国では…「この瞳…」
俺はいきなり銃口を向けると、赤と白のオッドアイであるその瞳を大きく見開いた。
キラキラしたその瞳は眩しくて、眩し過ぎて、とても嫌な瞳だった。
まるで、闇に生きる俺に刃を向けられているような、そんな気がしたんだ。
この俺に刃向かう者は、何処の誰であろうと容赦はしねぇ。
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