5.闇と戦う者〜麗寿〜

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静寂で漆黒な空。 寒さに、手は(かじか)み、冷たい空気に肌は痛い。 どうやら私は、見知らぬ世界に飛ばされたようだ。 目の前には大きな洋風のお屋敷が建っており、そのお屋敷の門近くで私は倒れていた。 古びた外観で、一見、廃墟のように見える。 そして、咲き乱れる花々が悲しくも枯れていて、この()に映る物全てがまるで、色を、命を失っているように感じてしまう。 そんな花々に囲まれながら、漆黒(しっこく)の長い髪を(なび)かせる誰かが一人、立ち尽くしていた。 その横顔は、とても悲しそうで、雨粒が涙のように見えました。 冷たい風に揺れ、雨に濡れる漆黒の髪が、何処となく美しいと思った。 「…誰だ?」 低く、静かな声。 「…お前。この国の者じゃねぇな。何故、他国の奴が此処に居る?」 漆黒の髪の彼は、静かに、ゆっくりと門に近付いて来る。 「すみません。決して、不法入国では…「その瞳…」 漆黒の彼は、いきなり銃口を私に向けると、赤と白のオッドアイであるその瞳を、大きく見開いた。
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