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静寂で漆黒な空。
寒さに、手は悴み、冷たい空気に肌は痛い。
どうやら私は、見知らぬ世界に飛ばされたようだ。
目の前には大きな洋風のお屋敷が建っており、そのお屋敷の門近くで私は倒れていた。
古びた外観で、一見、廃墟のように見える。
そして、咲き乱れる花々が悲しくも枯れていて、この瞳に映る物全てがまるで、色を、命を失っているように感じてしまう。
そんな花々に囲まれながら、漆黒の長い髪を靡かせる誰かが一人、立ち尽くしていた。
その横顔は、とても悲しそうで、雨粒が涙のように見えました。
冷たい風に揺れ、雨に濡れる漆黒の髪が、何処となく美しいと思った。
「…誰だ?」
低く、静かな声。
「…お前。この国の者じゃねぇな。何故、他国の奴が此処に居る?」
漆黒の髪の彼は、静かに、ゆっくりと門に近付いて来る。
「すみません。決して、不法入国では…「その瞳…」
漆黒の彼は、いきなり銃口を私に向けると、赤と白のオッドアイであるその瞳を、大きく見開いた。
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