ヴィーナスも夢を見る

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 だからこそ、図書委員しか入ることのできない図書準備室の鍵を閉め、中で淫行をはたらいた放課後のことは忘れられそうにない。  黒くて硬いソファで痛みに耐えながら零に処女を引き裂かれたとき、あたしの頭はありえないほどに満たされていた。  それと同時に、たとえば今現在も教室で駄弁っているであろう、キラキラしたあの子たちや、グラウンドや体育館、あるいは部室で部活動に励んでいるであろう健全な生徒たちの姿が次々と頭に浮かび、自分たちの不健全さに言いようのない優越感を感じていた。 「零。大人って、みんなこういうことをするのかな」 「さあ。でも、これが肉体的に最大限つながれる方法じゃないのかな」  行為自体は、恥ずかしくて、それでもほんのすこしあたたかくて、きもちよかった。だけど、零と肉体的につながれる行為はこれが最大限で、性器を重ね合わせる以上の行為がないと考えると、なんだかさみしくて、しにたくなった。 「かなしいな、これ以上がないだなんて」 「どういうこと?」 「もっと溶け合いたいの。零と、もっと奥深くで繋がりたい」 「そんなこと考えてたの? かわいいね」  くちびるが重なったのを皮切りに、いつの間にか二度目の抽送がはじまる。不健全な放課後、図書準備室のなかはふたりだけの楽園だった。
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