逃げられない〈沈む〉

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逃げられない〈沈む〉

目を覚ますと、暗闇の中だった。 ここはどこだろう、と起き上がるも真っ暗だから何も見えず、得体の知れない恐怖が私に襲いかかる。 「椿くん…、いないの…?」 恐怖の対象である椿くんの名前を呼ぶも、返事はなく。 チリ、とあの日のトラウマがふと蘇る。 暗くて、不気味で、冷たくて―― 「…こわい…、」 ……ダメだ、落ち着かないと。 大丈夫、私はベッドの上にいるみたいだし、あの地下室にいる訳じゃない。 必死に自分に言い聞かせていると、パッと部屋の中が明るくなった。
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