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栗原円香から放たれた言葉が、俺にとって予想外過ぎて思わず目を見開く。
…は?優しい?俺が?
とうとう感受性までイカレたのか。
「は…、意味わかんないんだけど」
「えー、巳波くん優しいよ!何だかんだ言って私と話してくれるし!」
「…それはお前があまりにもしつこいからで、」
「ふふっ、私は巳波くんの存在に、いつも助けられてるんだよ」
そう言って、眉を下げ悲しそうに笑う栗原円香。
あぁ、こいつはやっぱり馬鹿で、
ほんとに―――
「……可哀想な奴」
普通に生きていれば、青春真っ盛りの年頃の筈なのに、嫉妬深くて、束縛が激しくて、激重感情を押し付けてくるヤクザの若頭に囲われ、さぞかし息が詰まることだろう。
家も隣だというのに家族に会うことも許されず滅茶苦茶に抱かれる日々の辛さは、到底計り知れない。
……お前は、俺とは違うんだから。
自由に生きれたはずなのに、可哀想。
栗原円香の良いところを精一杯考え抜いて上げるとするならば、巴衛と同じで、明るく、そしてお人好しなところだろう。
しかしそのお人好しな性格が自分の人生を狂わせてしまったのだから、良いところでも無いと言えばそこまでなんだろうけど。
…こいつに救われた、ねぇ。
若の気持ちが、ほんの少しわかった気がした。
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