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「話しても良いですか?」
「うん。どうぞどうぞ。大好きなあたしに、存分に相談してくれたまえ」
もう、意味のなさそうな設定だが。わたしの友人が知り合いの男性から告白をされて、色々と悩んでいることを話した。
「それと告白してきた男性の彼女さんだった人とも知り合いみたいなので、おつき合いをする以前に気まずいとかなんとか」
個人的には、つき合ったりすることよりもそちらのほうが悩みの種な気がする。
「そっかそっか」
また知らない間に手を握ってしまっていたようでミオンさんがそちらを見ていた。指をからめたり手の平をくっつけたりしている。
考えがまとまったのか、わたしの目を真っすぐに見つめてきていた。
「せっかく、あたしに相談してくれたのに。その悩みは解決できなさそうかな」
「友人のことなので、ミオンさんが」
「どっちにしてもだよ。カナデちゃんの悩みだったとしてもさ。あたしやら誰かが色々と言ったところで最後に選ぶのは、その本人だから」
「選ぶ、ですか」
人によってはそもそも、この相談したこと自体が意味のないものだったな、と思うかもしれないが。今のわたしにとっては。
「そう。人を好きでも死にたくなっちゃっても、最後はその本人が選ぶんだからさ。あんまり意味がなかったりするんだけど」
「はい」
「相談されたほうは、うれしかったりするんだよ。ちゃんと頼ってくれるんだな、って」
「今回は、友人のことですけどね」
「そうだね。あたしの目の前に座っている、可愛い女の子のことだよね」
日本語って、色々とむずかしいな。
「まあ、暴露しちゃうとさ。船の時にシクラ本人からそのことを聞いていたり」
それに、その時にカナデちゃんの話で盛り上がってたりしたんだよ。と悪びれた感じもなく話している。
「怒った?」
とても不安そうに、ミオンさんがわたしの顔をのぞきこんでいた。
「いえ。なんとなくミオンさんも知ってそうな気はしていました」
普通の恋愛をよく知らないが。自分の彼女さんだった人の知り合いを、口説こうとしているんだから。そうするほうが近道のような気もするし。
「そんな気はしていたんですけど、もしかしたら知らないかもしれないので。相談って形で伝えたって感じかと」
「あたしが大好きってことか」
「まあ、そうなりますかね」
それは、かなり違うとは思うけど。
友人のミオンさんがうれしそうにしているので、うなずくしかなかった。
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