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けど、それとなくミヤシロさんに言いたいことはあったりしたが。それこそミオンさんが口にしていた、最後に選ぶのは本人なんだからな。
「さてと、オツノの質問に答えてやったんだからさ。そろそろ」
「わたしはツチウラくんが好きなんだと思います」
ミヤシロさんの言葉を遮るように、わたしはそう口にしていた。
確かに、好きとかきらいとか以外にも色々なことがあるんだろうから。もしかしたら、わたしと彼もそうなってしまうかもしれないが。
「今のところは、あの目つきの悪いツチウラヤキリ。って男性のことしか考えられそうにありません」
どうせ、最後は決まっているんだ。それに慌てて死ににいく理由もないんだから、少しぐらい道草をするのも悪くなさそう。
「それじゃあ」
「はい」
ミヤシロさんにこの言葉を使う必要はなさそうだけど。たった一人の女性として愛そうとしてくれたんだし。
「なので、ごめんなさい」
こう言うのが、普通なんだろうな。
「えっと。その、告白をされたことはとてもうれしかったのですが」
「そんなに慌てなくても分かっているって。振られたくらいで、なにもかも壊してしまうような性格じゃないことは、オツノも知っているだろう?」
「いや。ミヤシロさんのことはそんなに知らないので、なんとも」
「そうだったな。お互いを知るために、おれはオツノに告白をしたんだったっけ」
「もしかして、からかってますか?」
今頃、気づいたんだな。とでも言いたそうにミヤシロさんがにやついている。
「できれば、この前みたいにころころと表情を変えてくれたら、さらに良かったのにな」
「わたしが言うのもあれですが。そんなことばかりしているから、ミオ」
この前と同じように、またミヤシロさんにキスを。舌が、激しくからんできていて。
「色々とごめんな。カナデ」
わたしと唇をくっつけていてミヤシロさんは声がだせないはずなのに。うう、勢い良く舌が引き抜かれていく。
「き、今日だけですからね」
「おう。分かっているって」
わたしが、普通の女の子みたいに顔を赤くしたからかミヤシロさんは満足そうに笑っている。
「けど、略奪愛って言葉もあるからな」
「まだ、つき合ってもないので略奪とは言えないような?」
「そうだったな。もう一回だけ」
「本気で、ぶん殴りますよ」
なんとなくミオンさんと根本的に合わないって理由が分かったような気がした。
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