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タカセくんがわたしの顔を見つめている。
「秘密です。アカイさんとの約束なので」
まだ酔っていたようで、唇の前で人差し指を立てているわたしの表情筋がうれしそうに笑顔をつくっていた。
タカセくんやツチウラくんとそれなりに会話をしつつ、赤っぽいチーズをつまんでいると。なんの前触れもなく、辺りが暗くなってしまった。
どうやら停電ではないようでホールの中央のところに照明の光が集まっており、そこにカミシロさんが立っている。
傍らには紳士服の男性も立っていて、カミシロさんにマイクを渡していた。
軽いマイクのテストをおえると、カミシロさんがなめらかに唇を動かしていく。大半はパーティの挨拶だった。
「退屈なお話はこれくらいにして。皆さま、先ほどの茶色の封筒を開けてもらえますか」
そう言われて、二つおりにしていた茶色の封筒の中身を。暗号みたいな文章が書かれている紙が一枚だけ入っていた。
「読んでいただけましたでしょうか? そこにも書いてある通り、その暗号が示しているところにいく。それが今日のゲームとなっております」
今日の、ってことは明日も同じようなゲームがあるのか。今回みたいなものじゃないと良いんだけどな。
カミシロさんの説明によると。一日一回、こんな感じで夕食後にゲームをするようだ。今回は推理ゲームだが、日によって違うとかなんとか。
「それと、よりゲームを楽しんでもらうためのスパイスとして、ちょっとした罰ゲームもあります」
その日のゲームで最下位の人は一位の人の召し使いになり、次の日の夕食の時間までは命令などを必ず聞かないといけません。と、カミシロさんが続けている。
「もちろん、道徳やら色々と逸脱してしまうレベルの命令は駄目。あくまでもゲームだと言うことを忘れませんように」
今回の推理ゲームは、カミシロさんが提案したものらしく参加しないとか。
制限時間は一時間。闇雲に部屋を探すのはルール違反。ホールからでる時は、ウェイトレスさんかウェイターさんがつき添う形に。
誰かと相談したりするのは良いが、答えを教えた場合は強制的に最下位になってしまうみたいだ。
「なにか質問がありますか?」
そう、カミシロさんが言っているけど誰も質問したいことはないらしい。
「では、また後ほど。正解の部屋で」
軽く会釈をすると、カミシロさんはホールをでていった。
一時間後、最下位だったのは。
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