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ミオンさんの部屋に向かう途中、カシハラくんとタカセくんが会話をしながら、喫煙室からでてくるのが見えた。
「おはよう。オツノさん」
「おはよう。オツノちゃん」
双子みたいに、カシハラくんとタカセくんがほとんど同時に挨拶をしている。こうして並んでいるところを見るとタイプが全く違うので友達だと思えないな。
「おはようございます」
ほとんど同時に、二人が挨拶をしてくれたので、こちらは一回で楽。喫煙室からでてきたんだから当たり前だけど、煙草のにおいがする。
思わず、きょりを取ってしまったからか、カシハラくんが。
「こいつのふかしに、つき合ってたんだ」
タカセくんを指差しながら、慌てて言い訳でもしている時みたいに口を動かしていた。
「そうなんですね」
ふかし。がなにかは分からないけど。煙草の吸いかたか、なにかのことなんだろうな。
「もしかして、意外とオツノちゃんも?」
先ほど、かっぷくの良い男性がしていたのと同じ煙草を吸うジェスチャーをタカセくんから見せられた。
「ダンディシガーのほうなら、好きですよ」
「ん、なにそれ?」
「葉巻の形をしているチョコレートの商品、かなにかじゃなかったっけな。大人のおやつとかで人気があるとか」
カシハラくんの説明を聞くと。タカセくんが、そんなおやつがあるんだな、と興味なさそうに声を上げている。
「そう言えば、この船にも大人専用のおやつの店があるとか。お菓子好きのオツノちゃん的には外せない感じじゃない?」
「そうかもしれませんね。でも、そこにいく前にミオンさんと朝ご飯を食べるつもりなので」
「それなら、四人で食べない? 男二人だけだと華がないからさ。せっかくの料理の味も落ちちゃうかもしれないし」
かなり大げさにタカセくんが言っているのは分かるが。明確にいやがったり、断らなければならない理由もないからな。
「多分ですけど、ミヤシロさんもくっついているので五人で食べることになるかと」
「ミヤシロ、誰それ?」
「えっと、もじゃもじゃの頭をしている手足の長い男性です」
ミヤシロさんの姿を見てないようでタカセくんがカシハラくんのほうに、視線を向けている。
「メンバーの一人だ。例の彼女の彼氏だった人とかなんとか。少なくとも、お前よりは名が知れ渡っているだろうな」
「あー、あの人か。ぷふっ。それにしても、やっぱりオツノちゃんは色々と面白いよな」
そんな人のことを、もじゃもじゃとか言うんだから。と笑いながら、タカセくんが腹を抱えていた。
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