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人狼ゲームでも最下位だったので、今日もツチウラくんの部屋ですごすことになるんだと思っていたのだが。
「たまには召し使いにも自由が必要だろう。先輩と夜遊びでもしてきたら、どうだ」
みたいな気遣いをされてしまった。それが本音かどうかはさておき、男女が夜中に話をするだけと言うのは色々とストレスなのかもしれないな。
もしくは、わたしにその魅力がないのか。
「後で、泣いちゃっても知りませんよ」
「それもそうだな。それじゃ、夜中の十二時くらいに会う約束をさせてもらおうかな」
「ツチウラくんの部屋で?」
「召し使いの部屋で、だな。その時間くらいになったらノックをさせてもらうから起きていてくれよ」
「了解です。ご主人さま」
約束をして、わたしからはなれようとしているツチウラくんの大きな右手をなぜか握りしめていた。
「ん? どうかしたのか?」
「あ、いや」
わたしとツチウラくん以外のメンバーは、すでにホールからでていき、ウェイターさんやウェイトレスさんが食器類などの片づけをはじめている。
空気を読んでくれているのか、周りからの視線は全く感じなかった。
「その夜中に会う時にご主人さまにコスプレをしてほしいと思って」
本当に、コスプレをしてほしかった訳ではないけど、なにかしらの理由を言わないと。ツチウラくんに勘違いをされてしまうしな。
「別に構わないが、ナース服でも着てくれば良いのか?」
「それは似合わないと思うので。神父のコスプレでもしてきてくれれば」
「了解だが。それなら召し使いはシスター姿にでもなってくれるのか?」
「一応、考えておきます」
話はおわったので、ツチウラくんの右手をはなして、わたしはホールをでた。心臓の音が普段よりも高鳴っているのは。思い切り、走っているからなんだろうな。
自分の部屋に戻ってから、わたしはお風呂に入っていた。走っている訳でもないのに、心臓の音が大きくなっていて、きんちょうをしているから落ち着かせようと。
どこからか、扉が開いたような音がした。
湯船につかっているけど、まだ心臓の音がさわがしいので幻聴の類いだろう。部屋の扉だって鍵を、うん。確かにかけたはすだ。
それに、この部屋に扉が開いていたとしても入ってくる理由がない。一応、鍵をかけたかどうかは後で確認。
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