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「おーおー、こりゃまた派手にやったもんだな」
そう言って、アルヴァーは肩をすくめた。
目の前には、生き絶えたばかりのグールの死骸がいくつも転がっている。
周囲に飛び散った黒い血痕はまだ乾ききっていないものもあるらしく、床には灰の山ができあがっていた。
「情報どおり、場所はここで間違いないようだね。死骸の状況からみて、まだそんなに時間は経ってないと思うんだけど」
片膝をつき死骸の状態を確かめているルティスの横で、アルヴァーに踏まれた死骸が灰となる。
まだ形を保っている死骸があるということは、殺されてからそんなに時間は経過していないということだろう。
「ルティス、どうする? 奥を調べるにしても、まだやつらがいるかもしれねーぜ?」
「そうだね。できればグールの動きが鈍る昼間のうちに終わらせてしまいたいけれど。警戒体制のまま順に奥を改めていくしか、っ!?」
地面を踏む静かな足音が、ルティスの言葉をさえぎった。
二人はすぐさま息を殺し、音のしたほうへ視線を向ける。
小屋の奥、ほこりをかぶった角材の山の先の暗がりで、ゆらり、と大きく影が揺れた。
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