第4話 邪魔だけはしないで

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 少しひらけたその場所は、もともとは広場か公園だったのだろうか。いまとなってはどちらでも関係なかったが、エルザは足を踏み入れた場所の光景に目を見張った。  わずかに残る血のにおいとともに地面に転がるのは、いくつものグールの死骸である。  腐った肉体はどれも干からびた大地のようにひび割れ、カラカラに乾ききってしまっていた。 「死骸、だけ……?」  エルザは銃を手にしたまま、慎重に公園の奥へと歩を進めた。  目の前でぴくりとも動かないそれを、つま先で軽く蹴って転がす。  とたんに乾いた灰と化し風に流されていったそれに続いて、ほかの死骸も次々と形を保てずにぼろぼろと崩れていった。  気持ち悪く肌にまとわりつく生暖かい夜風が、血のにおいとともにすべてを暗闇へと連れ去ってしまう。 「どういうこと……?」  グールを殺せるのは、クルースニクの所有する銀製の武器か、もしくはヴァンパイアだけのはずだ。  しかし現在、この区域に派遣されているクルースニクはエルザひとりだけ。事前調査に訪れたチームは、昨日のうちに全員帰還している。  となれば、選択肢はひとつしか残らない。
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