第46話 知らせておきたい情報

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 グレーの髪をオールバックにまとめ、ステッキを手にした男は不敵に口元をゆがめている。  一見すればヒトと変わらぬ出で立ち。だが一般人がこんな場所にいるはずがない。  もとより、血に飢えたグールが向かってきているのだ。ヒトであれば、すぐにでもやつの餌食になってもおかしくはない。  しかし男は口元をゆがめたまま、微動だにすることなくグールを見ている。  隊員は飛び出したい気持ちをおさえながら、じっとその光景に目を凝らした。  次の瞬間、男は助けを求めるようにすがりついてきたグールの肉体を、その長く鋭利な爪で切り裂いた。  そうして無造作に、指先に付着した血をゆっくりと舐め取った。  ひどく狂気的な目が、妖しくきらめく。  男は肉塊を一瞥すると、霧にまぎれて城内に姿を消したのだという。  ルティスがひととおり話し終えたあと、地下は沈黙に包まれた。  地上からのすきま風が、地下牢に気味の悪い音を奏でる。 「……ふふっ」 「「っ!?」」  いままでなんの反応も示さなかったエルザが、ゆっくりと首をもたげた。  気だるげに頭を上げた彼女は、まっすぐにルティスとアルヴァーを仰ぎ見る。  その瞳は獲物を見つけたときのように爛々と輝き、乾燥した唇が小さく弧をえがく。
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