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「お前っ……!」
はじめて反応を見せたエルザに、おもわずアルヴァーが手を伸ばそうとしたときだった。
「っ!? くっ……! アルヴァー!」
突如として金縛りにでもあったかのように、体がいっさい動かない。
鋭い気配が背筋を切り裂くように走り抜ける。
意識ははっきりとしているのに、指先一本ですら動かすことができない。
「どうなってやがる……!」
二人同時に金縛りにあうなど考えられない。
一瞬、エルザによるものかと思ったが、彼女にそんな能力があるなどとは聞いたことがない。
ルティスとアルヴァーは内心の焦りを隠せなかった。
自身の身になにが起きているのか、まったく理解できない。
どこからともなく立ちこめた霧が、ルティスとアルヴァーの足元にまで迫ってきていた。
濃い霧に覆われた暗がりから、石畳を蹴る足音が徐々に近づいてくる。
「おじゃましますわぁ♪」
この場に不釣り合いな少女の声が、地下空間に喜々として反響した。
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