第49話 独占欲もほどほどに

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第49話 独占欲もほどほどに

「アリシア、気をつけろ。エルザはまだ万全じゃないんだ」 「そうですわね。ごめんなさい、お姉さま」  そうは言いつつも、アリシアはエルザの腰に抱きついたまま離れようとはしない。  首だけでエルザを見上げるアリシアのピンク色の髪をなでれば、彼女はうれしそうに目を細めていた。 「今日のランチは全部食べきれたみたいだな」  ダグラスはそう言って、ベッドの上から薄手のカーディガンを手に取って、エルザの肩にかけてやる。 「お姉さま、帰ってきたときはスープもほとんど飲めませんでしたものね。ダグったらすごく心配してたんですのよ?」  そう言うアリシアに、ダグラスは「余計なことを言うな」と彼女のひたいを軽く小突いた。 「いつもありがとう、ダグ」 「食事ができるってことは、元気になっている証拠だ。気にするな」  以前に比べればまだまだ少ないほうだが、用意した食事をすべて平らげてくれたのはダグラスとしてはよろこばしいかぎりである。  彼は目尻を下げて、艶を取り戻したエルザの髪を軽やかになでた。 「ちょっとダグ! 俺のエルザに手ぇ出さないでよ!」  それまで黙っていたギルベルトが、ダグラスの背後から飛びかかる。  うしろから首に腕を回してエルザから引き剥がそうとするギルベルトに、ダグラスも負けじと後方に腕を伸ばして彼の頭を鷲掴みにする。 「やめろ。お前のほうが低いから苦しいんだ」 「はぁ!? お前がでかすぎるだけでしょ!?」
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