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「お姉さま! 男どもは放っておいて、お茶にしましょう!」
むきになってじゃれあう男二人を無視して、アリシアはエルザの手を引いた。
窓際のソファへとエルザを促し、アリシアもちゃっかりと隣に腰をおろす。
「アリシア、なんだかうれしそうね」
「当たり前ですわ! またこうしてお姉さまと過ごせるんですもの!」
満面の笑みをこぼしながら腕にすり寄るアリシアに、エルザの顔にもおもわず笑みが浮かんだ。
「ちょっとー、そこ俺の場所なんですけど!?」
「早い者勝ちですわ!」
ギルベルトの主張にすかさず反論するアリシアが、エルザの腕にしがみつく。
さながら自分のものだと言わんばかりに、彼女は兄に向かって思いきり舌を出してみせた。
「いつもお兄さまばかりずるいんですのよ! たまには譲ってくださいまし!」
「独占欲もほどほどにな。飽きられるぞ」
「お前に言われたくないんですけど!? てゆーかエルザはそんなこと言いませーん!」
「もう! うるさいですわよ! さっさと座ってくださいまし!」
やんややんやとにぎやかな光景に、エルザもいつしか声を出して笑っていた。
変わらぬやりとりがずいぶんと懐かしいことのように思えて、エルザは目尻を濡らす涙をそっとぬぐった。
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