21人が本棚に入れています
本棚に追加
領主は己の失態に、歯を食いしばるしかなかった。
「玉座はいただきますよ。もちろん、彼女も」
そう言ってベルンハルドは、ダニエラの背中を押す。
反動で彼女の体が前のめりになり、あられもなくさらけ出された胸が領主の上で揺れた。
濡れた吐息が、容赦なく領主の肌をかすめる。
乱暴にたくしあげられたドレスの向こうで、男の動きに合わせてベッドが軋み女の嬌声が響き渡る。
ダニエラがおもむろに、夫の心臓に突き刺さったままのナイフをつかんだ。
律動に合わせて、何度も何度も夫の肉体にナイフを突き立てる。
そうして高く昇りつめた感覚が爆発する瞬間、深く刺さったナイフはついに彼の心臓をえぐり出したのである。
「ぐっ……! ぐあぁぁああぁぁぁ!?」
痛みなど、とうの昔に麻痺していた。
領主の体はのけぞるような形で痙攣を起こしていた。
そして瞬く間に、彼の肉体は指の先から崩れていく。
ベッドに残ったのは、人の形をした灰の山だけ。
自ら夫にとどめを刺したダニエラは、そんなことなど意に介さぬように快楽に身を委ねる。
新たな夫となる男に組み敷かれたまま、彼女は淫らな嬌声を上げつづけていた。
そのあとすぐにアリシアが誕生し、ベルンハルドは新たなる領主としてこの地を支配しはじめたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!