615人が本棚に入れています
本棚に追加
芳也は完全に美咲さんの言葉を信じているようだった。美咲さんはそう言いながら、まき散らした本を拾い始めた。
「美咲がやることないよ。日中遊びまわっていたコイツがやればいいんだ」
「遊びまわるってなに?」
さすがに聞き捨てならない言葉に、私は芳也を見た。
「母さんに聞いたよ。出かけてばかりで、買い物ばかりしているらしいな。お前は変わったな」
ああ、そこも繋がっているのか。完全にふたりにはめられていることを知った。
それでも、今までの私を芳也は知っているはず。時間が経てば目を覚ましてくれる。そう信じたかったが。
「美咲、もういい。夕飯はまだだろう。外に食べに行こう」
「それなら、パパが久しぶりに芳也に会いたいって言ってたわ。芳也のお母様も呼べばいいんじゃない?」
最初のコメントを投稿しよう!