STORY 1

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そんなふたりを見て、泣くことすらバカらしくなり、私はただ立ち尽くしていた。 「沙織、俺たちが戻るまでに片付けておけよ」 「いやよ」 思わず私は声をあげていた。 「え?」 今まで盲目的に彼をサポートしてきた私を知っているからだろう。まさかそんな言葉を聞くとは思っていなかったのか、芳也は驚いたように私を見た。 「私は悪くない、美咲さんが片付ければいいでしょ」 「え? あっ、そうよね。私が頼まれたんだもの。ごめんなさい、沙織さん」 絶対にそんなことを思っていないだろう美咲さんが、泣きそうな顔をしながらゴミ箱に手を伸ばす。 「沙織! お前……」 初めて芳也は手を振り上げ、私の頬を平手打ちした。手をあげられたことで、私の中で何かが壊れる音がした。
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