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「まさか、あの男お前に手をあげたのか!」
「少しだけ。でも大丈夫。本当にごめんね、少しお金を貸してもらえれば、夫がいない間に、荷物を取りに行って返すから……」
少し話して敬語が抜けた時だった。
「いい加減にしろ!」
陸翔兄さまの、本気の怒った声に、私は肩をビクっと揺らした。
「ごめんなさい。迷惑を……」
すぐ言葉をもどした。
ずっと連絡をしなかったのに、こんな都合のいいことをした私を怒るに決まっている。そう思った時だった。
「違う。怒鳴って悪かった。でも、頼むから、そんなに無理をするな。もう、大丈夫だから」
その言葉に、私の瞳からは涙が零れ落ちた。
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