STORY 1

24/36
前へ
/130ページ
次へ
「実家に帰るか?」 少しの沈黙の後、陸翔兄さまの問いに、私は考え込んだ。実家に帰れば、いろいろなことを聞かれるだろうし、心配をかけてしまうのは容易に想像がつく。 もう少し一人で色々と考えたかった。 私が小さく首を振ると、陸翔兄さまも「わかった」と答えて、運転を再開した。数十分走って到着したのは、「The Celestia Tokyo」。神崎グループのホテル部門が経営するこのホテルは、VIPを招待する場でもある。家を出る前は、よくここで両親と食事をしたことを思い出す。 外観はガラス張りのモダンなデザインで、夜のライトアップがラグジュアリーな雰囲気を漂わせている。 「この格好で入れるかな」 その雰囲気に、私は思わず言葉を漏らした。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

586人が本棚に入れています
本棚に追加