STORY 1

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「別に頼んでない」 それだけを言って、リビングを出て行く芳也に、私はキュッと自分の胸元を握りしめた。外に出ていく彼の足音がだんだん遠ざかり、家の中は再び静寂に包まれた。 どうして? お金があることはこんなにも人を変えてしまうの? 彼が出て行ったリビングに仄かに香る、甘い香り。 これに気づいたのはいつからだっただろうか。
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