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翌週の週末、私はいつも通り掃除機をかけていると、リビングのドアが開いた。
ようやくお目覚めか。そんな思いでちらっと時計を見るともう少しで11時になろうとしていた。
「今日、母さんが来るから、昼食用意して」
まだ眠気が残る表情の芳也が、挨拶もすることなく放った第一声に苛立ちを感じる。
彼の顔には昨夜のアルコールが残っていて、かなり飲んだのだろう。
私は掃除機の音を止め、思わず「また?」と声が漏れた。最近、芳也は仕事で家を空けることが多いうえに、帰りも遅い。
そして、たまに昼間に顔を出すかと思えば、決まって義母を呼ぶことが増えていた。
「何だよ、その言い方」
芳也は少し苛立った声で言い返してきたが、私はそのまま掃除機のコードを片付けながら、ため息をついた。
「だって、毎回急に言うじゃない。準備だってあるし、せめて前もって教えてほしいって言ったよね」
私はそう言いながら、彼の顔を見た。
しかし、芳也は軽く肩をすくめて、ソファに倒れ込んだ。
「別にいつも大したもの作ってないだろう。簡単なやつでいいよ。母さんだってそんなの気にしてないからさ」
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