STORY 1

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「簡単なやつって言っても……」 私の言葉など聞く気はないようで、芳也は無造作にリモコンを手に取るとテレビをつけた。 「とにかく、母さんが来るのは決まってるから。昼には間に合わせてくれよ」 昼までと言っても、もう一時間もない。今頃起きてきて、なにを言っているのだ。 そう思った私だったが、芳也は私の顔を見ることなくテレビを見ていた。 私は家政婦じゃないーーー。 そう思いつつも、台所へと歩き、冷蔵庫を開けた。中には、昨夜の残り物と、ほんの少しの野菜しか入っていない。これで義母のために昼食を用意しなければならない。どうして毎回こうなんだろう、と思いながらも、仕方なく私は料理を始めた。 なんとか、もうすぐ出来上がる、そう思った時、玄関のチャイムがなる。 「まだ料理並んだでないじゃないか?」 ようやくソファから立ち上がったと思うと、ダイニングテーブルに視線を向け芳也は投げ捨てるように言うと、玄関へと小走りに箸って言った。
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