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6.魔女様と共同生活
ひとまず教会での仕事は、魔女様との共同生活に慣れてから要相談という形になった。
魔女様との共同生活。
魔女様のお屋敷の一室を貸していただき、住み込みという展開になるなんて……。提案というか決定事項で、私の意見を聞く前に決まってしまって凹んだ。というか人を食らう魔導書のある屋敷での生活……。私、一年間生き延びることができるかしら……。
「それじゃあ、家に戻るけれど……何よ、不服なの?」
「あ、いえ……」
不安がっていてもダメだ。本館の書庫的な場所に入らず、魔導書に遭遇しなければ大丈夫なはず?
「あの(人食い魔導書もいるので)……私の住む部屋は本館の離れとかですか?」
「は? そんなわけないでしょう。一応貴女の部屋は用意するけれど、暫くは私の部屋で寝泊まりするわよ」
「はふぇ!?」
同居だと思っていたら、まさかの同棲!?
こんな美形でお姉系とはいえ異性の魔女様と同じ部屋で生活するの!? 一応、すでに元夫とは離縁手続きを踏んで即日、別れたけれど……。もしかして私を助けてくれたのも気に入って!?
「従魔契約は結びがしっかりするまでは、主人の傍にいないと危険なのよ。保護するに決まっているでしょう。だ・い・た・い忘れているかもしれないけれど、普通なら死ぬレベルの毒だったのだからね!」
「……すみません(うわぁあ……なんて勘違い! 恥ずかしい)」
「? まあ、いいわ」
何故か説教をされてしまった。保護するのに危険な魔導具のある屋敷での生活。魔女様的には、魔導書の危険度なんてないから安全だって思っているのかも?
でも私は普通に人間だし、そのへんの認識ってどうなのだろう。聞きたいけれど、まだ魔女様の住まいを見ていないのに、あれこれいうのは……違うわよね。
私の前を歩く魔女様は座っていた時には感じなかったけれど、190センチはあるだろうかなりの巨漢で存在感が凄い。体幹もしっかりしているし、ヒールが高い靴で歩き方も優雅だわ。思わず見惚れちゃう。
「それじゃあ帰るわよ」
「(帰る……)はい!」
「扉」
「へ」
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