6.魔女様と共同生活

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 魔女様の移動方と言ったら、箒で空を飛ぶ! 伝承では大釜だったりするけれど、ビジュアル的に箒がいい。そう期待していたのだけれど……。  美しい装飾の門を潜ったら、魔女様の屋敷前に着いていました。荘厳な装飾のある扉だけれど、ファンタジー小説ならよくある移動方法! まさか今世で体験できるなんて!  魔法陣が消えると同時に、ドアもすっと消えてしまった。そういうのも魔法っぽい。 「ここが私の屋敷よ」 「わあ!」  屋敷の門は高く茨が巻きついていてなんだか不穏な空気を感じるものの、屋敷の中は爵位持ちが住んでいそうな豪邸だった。モダンな雰囲気に、一階の中央にある螺旋階段は芸術的。ただ階段の端々に本が積み上がっている。  本って本棚の収まっているものだけど……どうして階段に? 「一階が生活スペースで、二階から上は研究室と書庫なの。仕事は屋敷の掃除と洗濯……それはまあ、適当で」 「適当……」 「そっちは出番がナイかもしれないわ」 「?」 「メインでやることは、三食の料理と夕食時に『かくてるぅ』を作ってちょうだい」 「あの……BARとかお店で働くのは、いいのですか?」  カツカツと長い廊下を歩いていた魔女様が、ピタリと立ち止まった。急に振り返ったと思ったら人刺し指でオデコを連打する。  地味に痛い。 「あ・な・た・ね! もう少しは自分に優しくなさい! 大体私が望んだからって、『かくてるぅ』を十杯も作ったら疲れるって、わかっているでしょう!」 「わかっていたなら、魔女様もカクテルを控えれば良かったのでは……?」 「んーもう! 分かっていないわね! あんな美味しいものを我慢することこそ、ストレスになるわ!」  無茶苦茶だわ。  おでこも地味に痛いし……。矛盾しているけれど、心配してくれている?  自由気ままな魔女様は、めちゃくちゃなことを言った後で、飲み足りないと部屋で晩酌すると言い出した。そこで私はふとあることに気づく。というかお腹が鳴りそうなほど空腹だった。よくよく考えれば、目が覚めてから水を口に含んだ程度だった。
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