7.お肉に合うカクテルといえば?

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 ジントニックの作り方は超簡単。  タンブラーサイズのグラスに氷を入れたら、まずはバー・スプーンで軽くステア(混ぜる)。これはグラスチルドといって、グラスそのものを冷やす。この時に氷が溶けて水になった部分を捨てる。それからジンを入れてグラスに近い位置でライムを搾って、ステア(混ぜる)をする。それから冷えたトニックオォーターを氷に当たらないように七分目まで注いで、残りに炭酸をちょっと入れてカットライムを飾って出来上がり!  この最後に炭酸を入れたのは、よりサッパリ感を出すためだったりする。 「できました。ジントニックです」 「待っていたわ。これがお肉に合うカクテルなのね!」 「はい。魔女様用に、ちょっとアレンジもしてみました」 「まあ!」  私が来るまで食事を止めていたのか、いくつもの分厚い本が浮遊していた。パラパラとページが捲れて、幾何学模様などの複雑な文字列がビッシリと並んでいる。  眼鏡をかけて硝子インクを手に持ってくる魔女様が知的すぎて、ドキリとしてしまう。  タンブラーを手に取った魔女様は口を付けた瞬間、「んん!」と声を上げ、それからグイッともう一口飲んだ。 「んんー! サッパリしていてとっても美味しい。グラスもヒンヤリしているし、ライムと他の柑橘系の香りがいいわ」 「気に入りましたか?」 「ええ、『もすこみゅーる』もよかったけれど、この『じんとにっく』もさっぱりで美味しいわ。こっちは甘みがないのね」 「はい。お肉にぴったりなカクテルとしては、甘みよりも爽快感を強めましたので」 「んん、これも気に入ったわ」  魔女様は一気に飲み干さず、味わってカクテルを楽しんでくれる。それがまた嬉しい。その後の食事は穏やかなもので、終始和やかに終わった。食器は魔女様のご友人が回収するらしいので、食器を洗ってまとめておけば良いとか。  魔女様は風呂場に案内すると、クルリと振り返った。 「それじゃあ、早速洗っちゃいましょう」 「へ?」
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