2.私の契約した魔女様はオネェ系でした

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 魔女様はにい、と唇を緩めた。そんな姿も色っぽい。なんという色香かしら。 「そーよ。無事に従魔契約は成立して、解毒も済んでいるわ。その分の対価として一年間、私の従魔として働けば後は自由よ♪ 新しい伴侶を得るのも良いし、働くのもいいわ」 「一年間……」  期間限定の従魔契約。  従魔ということは、獣の姿として買われるのだろうか? ペット枠って……何だか怖いような。でも夫とも離縁して帰る居場所もないのなら、次の仕事先を見つけるためにも魔女様に保護されるのは……願ったり叶ったりかも。でも魔女様に、どんなメリットがあるのかしら? 「あの……私が……魔女様の、……お役に立つでしょうか?」 「もちろん、貴女の魂をちょっと覗いた時に思ったのだけれど、前世で習得した『かくてるぅ』で私を楽しませて♪ それが対価よ」 「あ。……なるほど。それが魔女様にとってのメリット」 「当然よ。いくら野良魔女のせいだったとしても、見返りがないのに従魔契約なんて結ばないわ」 「ですよね(でも私にちゃんと価値があって、恩返しができるのなら嬉しい)」 「フィル殿……」  がくし、と肩を落とした神官様と今度は目が合った。見れば見るほど聡明さと落ち着いた雰囲気の人だわ。確かに彼が聖職者なら天職そう。薄らと微笑む姿に後光が差す。眩しい。 「お初にお目にかかります、マダム。ローレンス領、第十二支部リエン教会の責任者のミハエルと申します」 「ヘレナ……です。りえん教会……? 王都周辺で離縁トラブル専門の教会名だとは伺っていましたが……ということは、私は教会に……保護されたのですか?」 「ご認識の通りです。現在オルストン子爵は事情聴取を行っており、貴方様の身柄を保護するためリエン教会の病室にお連れした次第です」 「保護……」 「ええ、今回の一件は野良魔女が関わっています。王都周辺でも最近この手の事件が横行していまして、助けられたのは貴女だけでしたが……。間に合ってよかった」
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