01:憂鬱モーニング

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 淡い色のチュール素材を何層にも重ねたトップス。反対にボトムスはカジュアルなカーゴパンツで、黒いベルトが腰から太ももにかけて、ハーネスっぽく繋がっている。  上下でちぐはぐにも思えるけど、絶妙にバランスが取れているのは、千佳くんの抜群のセンスのおかげだ。  わたしの衣装は、全て千佳くんが手掛けていて、動画のコメントでも〝衣装が素敵〟と毎回褒められるから幼なじみとしては鼻が高い。エッヘン。 「着心地は?」 「いいよ。腰のベルトとハーネスが拘束具みたいだから踊るのは難しいけど、個人的には好き」 「ま、これは衣装じゃないしな。悪くない」  全身をくまなく目視で確認する千佳くんは、アクセサリーが気に入らなかったのか、取り外していく。  そして、ピアスを取ろうとした千佳くんの指がわたしの耳朶に触れたとき、大袈裟にぴくりと肩を揺らしてしまった。 「なに、擽ったかった」 「……耳朶ふにふにしないで」 「ふ、やわらか」 「んもー! 自分の触ればいいじゃん!」  みにょん、と耳朶を指先で弄ばれる。  わたしは軽率に触れられるだけでも、意識しちゃうのに。  千佳くんのばーか。
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