01:憂鬱モーニング

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「のの、眠いならベッド連れてくぞ」  ご機嫌ななめなわたしに気づき、寝るように促してくる千佳くんは、なんでもない顔で服を脱がしてくる。  そうやって、他の女の子にも触ったりするのかな。わたしが下着同然でも、照れてくれたりしないもんね。 「まるくなってんぞ」 「抱っこ」 「歩きたくないわけね。服着ろって」 「このままでいい。ベッドに毛布あるし」 「風邪ひく」 「やだ。このまま抱っこしてベッド連れてって」  頬を膨らませることを〝まるくなる〟と表現する千佳くんは、わたしをいつまでも子供扱いする。  それが今日はとくに嫌で、いっそのこと困らせてやろうと、わたしは下着だけの格好で、千佳くんに抱っこしてのポーズをした。  眉間にしわ寄せて、少し視線を伏せた千佳くんは呆れたように「はー……」と息を吐く。  それから仕方なさそうに、わたしを抱えあげた。 「千佳くんと寝たい」 「同じ寝室でいつも一緒に寝てんだろ」 「くっついて」 「これ以上どうくっつけってんだよ」  混ざり合って、溶けてなくなるくらいが丁度いい。  わたしを抱きかかえた千佳くんは「尻もぞもぞさせんな」と、極力触らないように目線まで逃がして寝室へと歩き出す。  わざと胸を押し付ければ「……冷水浴びたい」と遠い目をした千佳くんに、力なく呟かれた。
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