01:憂鬱モーニング

11/19
前へ
/86ページ
次へ
 肩に頭を預けて、子猫のように甘える。  肌寒さは、千佳くんで暖をとることで緩和。さいきんは食欲の秋も読書の秋も飛び越えて、冬がやってくるから気がはやい。春夏秋冬じゃなくて夏冬だ。  心地好い揺れが眠気を誘った。未だにぶつくさ文句を並べる千佳くんの声が、子守りのBGMっぽい。 「そんなに冷水浴びたいの?ならいっしょにお風呂入る……? プールでもいいよ……?」 「このばか寒い時期に水風呂か? 二人揃って死ぬぞ」 「う〜ん……」 「……は〜、水着作るか……」  ねむくて、意識がぽやぽや。  そうこうしてる内に、二階の陽の当たる寝室に到着して、ふかふかのベッドに下ろされた。  採光性のある両開きの窓から高い木々が見える。部屋に物自体は多くなくて、キングサイズのベッドと本棚とサイドテーブルがあるくらい。  そして、風邪をひかないようにと再三言って聞かせる千佳くんが、謎に毛布を何枚も重ねてかけてきた。 「いい子だから寝ろ」 「毛布かけすぎてあついよ」 「……わかった」 「となりで、いっしょに寝る」 「わかったっての」  相変わらず、わたしの我侭によわいね。  隣に寝た千佳くんが、毛布ごとわたしを包むようにして抱きしめるから、嬉しくて頬がゆるんだ。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加