01:憂鬱モーニング

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 触れ合った唇から、ぬくもりが伝わる。  背伸びして抱きつくと、後頭部に手を回り優しく押さえつけられた。千佳くんのもう片方の手が自然と腰を抱く。 「(くちびる、柔らかいな……)」  緊張してカチコチのわたしを解すみたいに、何度も角度を変えて口付けをしてくる。  キスの勉強をすればよかったと後悔した。ネットの知識すら拾わず、引きこもりで人との交流がないわたしは、何が正解かわからない。  息継ぎのタイミングを計っていると、唇をぺろりと舌で舐められた。 「……ん?なに?」 「のの。口開けて、舌出して」 「え、なんで?」 「唇くっつけるだけがキスだと思ってんの?」  見下ろしてくる千佳くんの瞳が、扇情的に色づく。  言いたいことはわかってる。映画とか本とかでも度々出てきて、そういう濃厚なキスの仕方があるのは知ってるんだけど。 「や、やり方わかんない……」  尻窄みに消えていく、わたしの声。  いろんな種類の恥ずかしさに襲われて目を逸らした。 「……」 「だから千佳くんが、おしえて……」 「……っ、は〜……」  自分の目元を片手で覆った千佳くんが、わたしの腰を抱いたまま息を大きく吐く。  どうしたの、という声は、 「──ふっ、ぁ」  千佳くんの唇と舌に食べられて、まるごとぱくりと呑み込まれた。
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