01:憂鬱モーニング

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 家の中に戻ると、丁寧に足に靴下を履かせられた。  それから、目敏くマグの中身と隈のある顔を見つめられて、大袈裟にため息をつかれる。 「……徹夜しただろ」 「ぎくっ」  朝帰りなのに、どうしてイケメン具合が霞んでいないんだろうな、なんて呑気に考えていれば、ジト目の千佳くんにチクチク叱られた。 「今から寝んのにカフェインなんか摂取してんな、バカタレが」  ぽすん、と頭を手の側面でチョップされる。  お互いさまなのに、と反論したいけど、千佳くんに口喧嘩では勝てないのを身をもって知ってるので、素直に悄げて「ごめんなさい」と謝った。  すると、わたしの身体をひょいっと持ち上げた千佳くんが「ご飯も食ってねーな」と声を低くして言う。 「た、たべたよ」 「なに食べたか言ってみ」 「……グミ」 「それはご飯じゃなくてお菓子」 「ごめんなさい」  美形が怒ってるのって、迫力あるよね。  わたしの自慢の幼なじみは、テレビに映る俳優やモデルと大差ないくらいかっこいい。  見慣れてても、ときどき見惚れてしまうのだ。 「朝ごはん作っから待ってろ」  優しい幼なじみの言葉に、わたしは従順に頷いた。
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