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ヘアメイクが完了して、メインの服に着替える。
麗くんとウィルくんがデザインした服は、Aラインのシルエットのワンピースで、澄んだ夜の海の煌めきを閉じ込めたような色合い。
シンプルだけどデザイン性もあり、着心地も抜群。華やかだけど儚さもあって、ふたりがどれほど真剣に服に関わってきたのか実感した。
「メイク、着替え、終わりました!」
「お、おまたせしました……」
既に、撮影準備を終えたスタジオが、またしてもしーんと静まり返る。
麗くんやウィルくん、千佳くんまでポカンと固まるので、わたしは皆に見つめられながら、もじもじと指先に視線を落とした。
「ワ、ワンダフォー……」
「俺、絶対ののちゃんが合うって言ったじゃん。まじ天才……最高……」
「すー……。誰にも見せたくない」
謎の拍手と感嘆の吐息で迎えられつつ、わたしはスタジオのセットの完成度に驚く。
エレガントな本棚の前には、ティピーテントとたくさんのクッション、フェアリーライトとドライフラワーが天井から吊るされて、本やカップ、ギターなどの小物が、計算されて配置されていた。
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