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打ち上げ、の言葉に反応した人たちが挙手する。参加希望のようだ。帰りたいなんて言い出せる空気じゃない。
「わたし、えっと」
「ののちゃんも行くよね? なに食べたい?」
「麗くん、その……」
「今日のお礼させてほしいな」
うぅ〜〜。
お礼と言われたら、ますます断れなくなるよぉ。
なんか奥の方で電話かけてる人もいるし、たぶんわたしたちも人数にカウントして予約しちゃってる。
これはもう、打ち上げ行く流れができてしまった。
「……っ、一次会、までなら、がんばる……」
譲歩して、一次会。
勇気を振り絞ってそう伝えると、満足気な表情の麗くんに、頭をよしよしと撫でられた。
「お利口さんだね、ののちゃん。席は俺と千佳の真ん中にしてあげるよ」
「勝手に決めんな」
「うう、壁際のすみっこの席でお願いします」
「ん〜? 却下」
「却下!? なんで!?」
麗くんの考えって、謎で読めない。
黒一色の服に着替え、不審者スタイルに戻ってからも壁際になりたいと抗議してみたが「オレの隣ね」としか返されなかった。
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