03:怖々イブニング

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 打ち上げ、の言葉に反応した人たちが挙手する。参加希望のようだ。帰りたいなんて言い出せる空気じゃない。 「わたし、えっと」 「ののちゃんも行くよね? なに食べたい?」 「麗くん、その……」 「今日のお礼させてほしいな」  うぅ〜〜。  お礼と言われたら、ますます断れなくなるよぉ。  なんか奥の方で電話かけてる人もいるし、たぶんわたしたちも人数にカウントして予約しちゃってる。  これはもう、打ち上げ行く流れができてしまった。 「……っ、一次会、までなら、がんばる……」  譲歩して、一次会。  勇気を振り絞ってそう伝えると、満足気な表情の麗くんに、頭をよしよしと撫でられた。 「お利口さんだね、ののちゃん。席は俺と千佳の真ん中にしてあげるよ」 「勝手に決めんな」 「うう、壁際のすみっこの席でお願いします」 「ん〜? 却下」 「却下!? なんで!?」  麗くんの考えって、謎で読めない。  黒一色の服に着替え、不審者スタイルに戻ってからも壁際になりたいと抗議してみたが「オレの隣ね」としか返されなかった。
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