01:憂鬱モーニング

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 わたしが食べてる姿を、千佳くんは頬杖をつきながら見守っている。監視しなくても、喉につまらせたりしないのに、過保護だ。 「編集、進捗は?」 「ぼちぼち……。今回の曲と振り付け気に入ってるから、映像もこだわりたいなって」 「なるほどな。衣装はどうだった」 「今回のテーマが退廃的な美だから、かなりマッチしてた。あとで確認して?」 「ん、わかった」  もぐ。最後の一欠片を、飲み込んだ。  幼なじみに頼りきってる哀れな引きこもりにも、手に職は必要。ということで、わたしは趣味も兼ねて正体不明のアーティストとして活動している。  簡単にいうと、無料の動画配信サイトに投稿して、収益を得ている個人事業主だ。  人との関わりが苦手なので企業には属さず、顔出しもしないでやっている。だからこそ、編集作業やら諸々の細かいこと、全部ひとりでやらなくてはならない。 「うう〜、不安……」  今回は、自分で制作した曲を歌うのに加えて、衣装を着て踊ったから、映像を編集するのが大変だった。  歌うのも、踊るのも、だいすき。  でも顔は晒したくない。みてほしいけど、注目されたくはない。
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