01:憂鬱モーニング

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 毎回、動画を投稿する前は相反する感情に苛まれる。  楽しいからやってるけど、顔出ししてほしいってコメントとか、粘着質なアンチとか、そういったものは怖くていやだ。不安が肥大化してしまう。 「いつもごめんね」  不安定な情緒が、言葉になって漏れ出た。  だって、生活能力のないわたしと千佳くんは真逆。料理、洗濯、掃除、なんでもできるパーフェクトヒューマン。比べると歴然だ。  けど、落ち込んでるわたしの頭を、片手で雑に撫でくりまわした千佳くんは、淡々と告げる。 「何度も言うけどな、俺は好き好んでお前といる。世話焼くのも、ただのエゴ。だから迷惑でもなんでもない。好きにやって、やめたくなったら逃げればいい」 「……」 「お前が望むものは、俺が全部叶えてやる」  ほんの少し緩んだ、千佳くんの眦。  溢れ出そうになる〝好き〟を押さえ込みながら、わたしは頷き、代わりに撫でてくれる手に甘えた。 「千佳くんが幼なじみでよかった」 「幼なじみじゃなくても、何も変わんないけどな」 「変わるよ。友達なってくれなそう」 「友達じゃなくてもなれるものはあるだろ」 「えー? あるかな」 「ある」  あるなら教えてほしいけど。  妹枠とか言われたら落ち込んじゃうから、これ以上聞けない。  怖くなったわたしは自己防衛のため、撫でてくれる優しい手から離れた。
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