本を探して

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 父親もたまに本を買ってくれるようになり、雄介の集めた本は一年後百冊を越した。だが雄介は頭を抱えていた。 「この青ざめた馬を見よって本、どこにもないんだよな……」  明が渡してくれたリストの中にどうしても本屋で見つけられない本がいくつかある。おそらく出版された年代が古いためだ。明の父親が集めた本だが、明の父親が集め出した時季ですでに古いものもあるだろう。 「古本屋かな……」  雄介の町にも古本屋はある。ただ雄介はそこに入ったことはない。前を通ることはあったが、自分には縁のない場所と認識していた。明も千冊の本を読んでいたのだから、わざわざ行ったりはしなかったろう。千冊の本は明にとって父親との思い出でもあるのだから。  そういうときは、父親におねだりに限る。 「父さん……、俺、古本屋に行ってみたいんだけど……」  夜にまた父親におねだりをする。この一年、本を集めるために何度もおねだりをしているためにバツが悪いが、集め切るには頼るしかない。 「じゃあ日曜に行くか。雄介はお手伝いも勉強もこの一年頑張ってるから一万円くらいまでならいいぞ」 「本当!? 父さんありがとう!」  おそらく母親も父親も雄介が何のために本を集めているか気付いている。明から渡された千冊の本のリストはもうボロボロだ。購入したものは赤ペンでチェックを入れているが、それも滲み出している。何度も開き、常に持ち歩いている本のリスト。  雄介はそれを書き直すことも予定に組み入れた。  日曜に父親と訪れた古本屋。何時間もかけて棚を探し、青ざめた馬を見よをやっと見つける。茶色く変色し、カバーも切れていた古い本。雄介はそれを見つけたとき、つい飛び跳ねてしまった。 「良かったな」  父親も嬉しそうに声をかけてくれたが、雄介の顔は赤くなってしまう。 「……読んでみたかったんだ……」  明のリストにあったからと正直に言えずについ強がる。他にもなかなか見つからない本をここで雄介は見つけた。  古本屋の店主は何も言わずに新聞を読んでいたので怖くはない場所なのだと雄介は感じ取る。今度は一人で来れる。そんなことすら思っていた。
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