第2章

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 うわーっやばい!心臓が止まるかと思った。喜びのあまり騒ぐ双子を叱責したハスキーさんは蛍様の隣に座ると腕を回して肩を引き寄せ、耳元で囁いた。  赤く染まった首筋を指でツゥと撫で、さらにあんなことを色気たっぷりに囁くなんて。男の俺でも勃起を通り越して濡れる。  なんて、休みのハルトである俺がなぜそんなことを言っているのかって?そりゃあ、この場にいますから。 「乾杯」  チンッとハスキーさんのグラスと合わせたシャンパンを、一口含んで微笑む。スケスケも新人達も、ハスキーさんも皆が蛍様を見て笑っている。  あぁ、幸せだなぁ。こんなにもハスキーさんにまっすぐ“好き”を伝えられる。たとえ彼の目に映っているのが“嘘”でも。  そう、今の俺はホストの“ハルト”ではなくシルバーハスキーの懐刀の“蛍”なんだ。  もちろん、女装しているしこのことは誰も知らない。ハスキーさんのことが好きすぎて、もっとそばにいたくて、触れたくて、想いを伝えたくて、こんなことを始めてしまった。  笑えるよな。ナンバーワンホストが、好きな男のために稼いだ金をありったけ注ぎ込むなんて。とはいえ、この生活を続けるためにナンバーワンの座は譲れないからギリギリに調整してるんだ。 「蛍様ってぇ、クレジット派ですか?あっもしかしてPayですか、僕とPay友になっちゃいますか!?」 「ペイスケ君、Payでこの金額を支払えると思いますか?残念ですが私はクレジットです。あれ、君達もしかしてシャンパンは初めて?ごめんね、じゃあ何か好きなチューハイとかある?」
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